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Developers Summit 2025 イベント参加レポート

  • #イベントレポート

2025.02.21

Sogame Masato

はじめに

こんにちは!株式会社 AzitのCTO の十亀です (@Pocket7878)
2025-02-13 ~ 2025-02-14に目黒の雅叙園で開催された、Developers Summit 2025に参加してきました!
私自身はDevelopers Summitには今回が初参加だったので、会場の皆さんの熱気なども感じられてとてもワクワクしました。今回はそんなデブサミの参加レポートをいたします。

余談: 雅叙園初めて来ましたがオシャレ…

イベント概要

Developers Summitは2003年から毎年開催されている、ITエンジニアのための大型イベントで、今年のテーマは「ひろがるエンジニアリング」でした。
今回は特に昨年大きな動きのあった生成AIをテーマにしたセッションが多く、生成AIによって我々エンジニアの仕事のあり方がどのように変わっていくのかを考えるセッションが多かったです!

https://event.shoeisha.jp/devsumi/20250213

ブースも盛り上がっていました!
私たちAzitでは、DeliveryXという物流・SCM領域のDX事業をやっているため、近しいBtoBの企業の方や、弊社プロダクトに連携できそうな企業様などと楽しくお話させていただきました!

ピックアップ

聴講して気になった登壇をいくつか紹介します!

技術と情熱で創る未来

Tably株式会社の及川 卓也さんによる講演でした。
コンピュータへの入力方法は、かつて2進数や16進数を直接トグルスイッチで入力していた時代から、アセンブリ言語、さらにはCのような相対的に高級な言語へと進化してきました。そして現在、生成AIに自然言語で指示を与え、コードを生成させるという新たなフェーズに突入しています。この技術の進化の中で、エンジニアとして今後どのような視点でソフトウェア開発に向き合うべきかが、講演のテーマでした。
私はこの講演を通じて、AIと人間の関係性の中で、人間の価値や責任とは何かを改めて考えながら話を聞いていました。
以前から、「プログラムは自然言語で書かれたものが、偶然コンピュータで実行可能な形になっているべきだ」という考え方があり、人間が読みやすく理解しやすい形式でコードを書くことが理想とされてきました。しかし、生成AIの登場によって、実際に自然言語で指示を与えることでコードを生成し、結果を得る機会が増えてきています。技術の大きな進歩を実感するとともに、年々加速するAIの進化に、私自身がどのように向き合うべきかを考える良い機会となりました。

業務理解の深化と実践~ドメインモデリングで基幹システムを捉える

株式会社MonotaRO様でのドメインモデリングを活用したソフトウェアの内部品質の改善プロジェクトのご紹介のご講演でした。
弊社でも、物流業界という複雑なドメインに向き合うため、ドメイン駆動設計(DDD)の知見を活用することが度々あります。

https://love-from.azit.co.jp/article/ddd

配送にまつわる業務領域をどのように分割するか、それぞれの領域をどのように連携させていくかなどをマッピングしてまとめたり、実際にイベントストーミングを実施して、業務プロセスを改めて再確認したことなどもありました。
ビジネスの対象領域や戦略が複雑化し、開発年数が経過するにつれて、ブルックスの著書でも指摘されているように、競争力の源泉となる「本質的な複雑さ」に加えて、一般に「技術負債」(この呼称が正しいかはさておき)とも呼ばれる偶発的な複雑さがソフトウェア内で増加し、アジリティが低下していく場面が多々あります。こうした問題に向き合い、モデリングを通じて継続的に見直していくことの重要性を改めて実感した講演でした。

変わるモデルと変わらぬ本質 - 実践知の深掘りと次世代開発アプローチの探求

https://speakerdeck.com/yuhattor/developer-summit-2025-14-d-1-yuki-hattori

コード補完から段階的に自律的にコードを把握して実装をすすめるAIエージェントへと、生成AIとエンジニアの関係性が変化していくなかでも変わらない、エンジニアリングの本質的を見つめ直すとても良い講演でした。
弊社でも開発にDevinを導入して日々タスクを依頼していますが、やはり「人間にとって分かりづらいコードは生成AIにとっても分かりづらい」という部分は日々実感しています。
Devinを導入した際にも最初に私が行ったのはサンプルコードの追加であったりREADME.mdへの情報の追記などでした。
新しい技術が登場した際に、いかにその技術を適切に活用していくかという観点では、エンジニアリングの本質は生成AI移行も変わることのない本質的な部分かとおもいますので、今年以降もさらに生成AIの技術自体の発展や活用も進むことを見越して、そのなかで開発チームのカルチャーもブラッシュアップしていく必要があると強く感じました。

生成AI時代のプロダクトの現在地点

https://speakerdeck.com/ymatsuwitter/building-products-in-the-llm-era

Ai Workforceを運営されているLayer XのCTO 松本さんのご講演でした。
Ai Workforceの開発を進める中で、LLMを前提としたプロダクトの構成について、従来のように個別の業務をソフトウェア化していくアプローチではなく、LLMによって汎用的な業務を捉えるための枠組みをどのように要素分解するかをご紹介いただきました。
こちらのご講演でもAIオンボーディングという言葉が使われておりましたが、「ソフトウェア開発」に限らず、社内の様々な知識をいかにしてLLMにとってリーチしやすい形に整理し、磨き込んでいくかというのはやはりこれからのLLMの活用として重要になっていくと感じています。
また、「AI Agentに踊らされない」というセクションは、私自身も強く共感するところであり、
似た問題解決の領域に思われるツールであっても、「厳密で正確だが、柔軟性がない」ものから「柔軟で対応範囲が広いが、精度担保が難しい」ものというのが存在します。
そのなかで、手段が目的化してしまうことなく、適切に必要なツールや構成の選定というのはやはりエンジニアとして、それぞれの要素にどのような特性があるのかを把握したうえで使い分けることができるのが大切だと感じています。

まとめ

今回のデブサミでは、私は、生成AIの活用と開発生産性に関連するテーマを中心に、さまざまな講演に参加させていただきました。
ソフトウェアエンジニアとしての活動は、コードを書くこと、コードを読むこと、設計することなど、多くの要素に分解されます。しかし、それらを単なる日々の作業として捉えるのではなく、一つ上の抽象度の視点から見直すことで、生成AIを単なる効率化の手段ではなく、エンジニアリングそのものの対象として扱う必要があると改めて感じました。
特に、AIがコードを生成するという行為は、単に人間の代わりに作業をこなすという話ではなく、ソフトウェア開発の構造そのものを変えうるものです。たとえば、コードの可読性や保守性といったこれまで人間が重視してきた概念が、生成AIを前提とした開発のあり方においてはどのように変化していくのか。また、コードレビューや設計のプロセスはどう変わるのか。そうした問いに対して、技術的な視点だけでなく、エンジニアのキャリアのあり方や、業界全体としての育成の方向性といった側面からも考えさせられる機会となりました。
生成AIのケーパビリティは年々進化し、今年もまたその広がりとともに、ソフトウェア開発のあり方自体が変わっていくのだろうと感じています。その中で、エンジニアとしてどのように技術と向き合い、適切に活用していくのか。単にツールの使い手としてではなく、生成AIの可能性と限界を見極め、それを前提とした開発プロセスやチーム文化をどう構築していくか。そうした視点を持つことが、今後ますます重要になっていくのではないかと改めて考えさせられました。

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